弥生株式会社は、会計事務所向けの記帳ソリューション「弥生の記帳代行AI」について、オープンβ版の提供を開始した。対象は「弥生PAP」会員の会計事務所で、オープンβ版の期間中は無料で利用できる。
記帳AIの普及を阻む「プロンプトの壁」に対応
多くの会計事務所にとって、労働人口の減少に伴う人手不足や業務効率化への対応は差し迫った課題となっている。記帳業務へのAI活用は事務所ごと、スタッフごとに試みられているものの、多様な取引内容に対応するには適切なプロンプトを作成し、メンテナンスし続ける必要がある。弥生によると、これが大きな壁となり、会計業界全体への普及には至っていないのが現状だという。
こうした背景から開発されたのが「弥生の記帳代行AI」だ。会計事務所が新たな設定やメンテナンスを行うことなく既存の業務プロセスにシンプルに組み込め、誰でも高品質な生成AIの恩恵を受けられるソリューションとして設計されている。
クローズドβでは利用事務所の81%が継続利用を希望
同サービスは2026年8月から、一部の「弥生PAP」会員会計事務所を対象にクローズドβ版として先行提供されてきた。クローズドβ期間中は57事務所、130件の顧問先の記帳に活用され、利用事務所の81%から「正式版提供後も利用したい」との評価を得たとしている。
今回のオープンβ版では、クローズドβ版で設けていた利用環境に関する制限を撤廃し、すべての「弥生PAP」会員が無料で利用できるようにした。より多くの会計事務所に効果を実感してもらうとともに、実際の業務におけるニーズやフィードバックを収集するのが狙いだ。弥生は2027年春の正式版リリースに向けて、利用者からのフィードバックをもとに機能改善や仕訳精度の向上に取り組み、実務での使いやすさをさらに高めていくとしている。
LLMベースの記帳専用エンジンと実務志向のUI
- プロンプト運用不要で高精度な仕訳を自動生成:大規模言語モデル(LLM)を活用し、弥生が独自に構築した記帳専用エンジンにより、複雑な取引パターンにも対応した高精度な仕訳を自動生成する。プロンプトの改善は弥生が継続して行うため、ユーザー自身によるプロンプト設計や運用は不要。
- 生成AIによるスピード:証憑のアップロードから自動分類、証憑種別ごとの記帳までをAIがすべて実行する。領収書・通帳・クレジットカード明細など、種別の異なる証憑を100枚アップロードしても数分で作業を完了する(100枚程度の証憑を想定。サービスの稼働状況により異なる)。従来の「記帳代行支援サービス」ではBPO(オペレーター)の入力により仕訳の納品に1営業日を要していたが、本サービスでは数分で重複チェックが可能な状態まで仕上げる。
- 確認作業を効率化するUI/UX:重複している疑いのある証憑画像を左右に並べて比較できるなど、会計事務所が日常的に行う作業に着目し、使い勝手を徹底的に磨き込んでいる。
弥生は、これらの機能によって会計事務所が入力作業や確認作業に要する時間を大幅に削減でき、より付加価値の高いコンサルティング業務などの顧問先支援にリソースを集中させられるとしている。
加えて、会計事務所向けクラウド業務システム「ZEXT」との連携にも対応する。「ZEXT」で回収した証憑を「弥生の記帳代行AI」へシームレスに取り込めるほか、顧問先や対象月との自動紐付けによってアップロード漏れや取り違えを防止し、回収から記帳までの進捗状況を一元管理できる。なお、連携には別途「ZEXT」の契約が必要となる。
提供概要
- 提供開始日:2026年10月22日(木)
- 対象:「弥生PAP」会員の会計事務所
- 利用料金:無料(オープンβ版期間中)
- 利用方法:マイポータルWebから申し込み
サービスの説明や導入、業務での活用方法については、「弥生PAP」会員限定でオンラインの個別相談も実施する。
「弥生PAP」は、14,000を超える会計事務所・社労士事務所が加入する日本最大級のパートナープログラム(2026年3月現在、自社調べ)で、弥生と会計事務所・社労士事務所がパートナーシップを組み、中小企業や個人事業主、起業家の発展に寄与することを目的としている。弥生は1978年創業で、バックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ」の開発・販売・サポートを手がけており、同シリーズの登録ユーザー数は400万を超える。
出典:弥生株式会社