株式会社みらいスタジオ(本店: 東京都千代田区、代表取締役: 兼城 駿一郎)は、WordPress や Studio で構築された企業・団体のサイトを静的サイトへ移行するサービス「ホットケル(Hottokel)」の提供を始めました。移行後もデザインと URL はそのまま保たれます。問い合わせは暗号化フォーム「フウイン」で受け付けます。2026年10月22日からは無料の URL 診断を受け付けており、10月24日には株式会社Jidoca Technologies の WordPress 製サイトの移行を終えて公開しています。

CMS本体の更新では防げないリスクへの対応
サービス開始の背景には、相次いだ脆弱性の公表があります。2026年10月21日、PHP に深刻度 9.2(CVSS v4.0)の脆弱性 2 件が公表されました。この脆弱性は WordPress 本体やプラグインを更新しても解消されず、サーバー側の PHP そのものを更新する必要があります。国内の主要なレンタルサーバー各社は、21日夜から22日にかけて緊急メンテナンスを実施しました。同じ週には Java、Node.js、Ruby でも修正が続きました。その直前の10月16日には、ノーコードのサイト制作サービスの運営会社が不正アクセスを公表し、利用者のサイトのフォーム送信内容などが流出した可能性があると発表しています。
同社によると、会社案内のサイトは総務や広報の担当者が兼務で管理しているケースが少なくありません。脆弱性のニュースが出るたびに自社が対象かを確認し、サーバー会社の対応を待つため、本来の業務の時間が削られます。また、問い合わせフォームには取引の相談や見積もり依頼として氏名・連絡先・住所が届きます。そこで同社は、サーバーに侵入されてもその中身を読まれない構成が必要だと考えたとしています。

静的化・暗号化フォーム・SEO/AIOの3本柱
公開サーバーからPHPとログイン画面をなくす
サービスの土台となるのがサイトの静的化です。現在のデザインと URL を引き継いだまま、公開サーバーから PHP・データベース・ログイン画面・プラグインを取り除きます。配信用のサーバーに置かれるのは HTML・CSS・画像だけです。公開サーバーで PHP を動かさないため、今回のような PHP の脆弱性の対象にはなりません。
事業者自身も開けない暗号化フォーム「フウイン」
フウインでは、訪問者が送信ボタンを押した時点で、問い合わせの内容がそのブラウザの中で暗号化されます。みらいスタジオのサーバーに保管されるのは暗号文だけです。内容を開けるのは、利用企業の担当者が顔認証や指紋で使うパスキーと、利用企業が保管するリカバリーコードのみで、同社には開けない仕組みです。保管サーバーに侵入された場合でも、そこにあるのは鍵がなければ読めない暗号文となります。
検索エンジンとAIに読まれやすい構成に
JavaScript で後から描画していた本文を素の HTML に書き出し、見出しの構造、会社情報の構造化データ、AI 向けのサイト案内(llms.txt)、ページごとのテキスト版を整備します。なお、検索順位や AI の回答への反映は各サービスが判断するため、効果は約束できないとしています。このほか、移行作業で全ページをスキャンする際に、誤字脱字と思われる箇所や、ページごとに数字が食い違っている箇所なども検出し、移行報告レポートとして提供します。同社は、すべての攻撃を防げるわけではないとしたうえで、更新のたびに身構える場面が大きく減り、サイトを安心して「ほっとける」仕組みになると説明しています。

URLを送るだけで診断、Jidoca Technologiesで移行実績
利用の流れは次のとおりです。
- URL を送る: サイトの URL だけで開始でき、この段階でログイン情報は不要
- 診断と見積もり: AI が全ページを読み取り、移行の可否や置き換えが必要な機能をまとめる。ページ数とフォームの数から見積もりもこの時点で確定し、診断結果は翌々営業日まで(最短で当日)に届く
- プレビューを確認: 移行後のサイトを公開前の URL で実際に確認できる
- 切り替え: ドメインの向き先を切り替え、全ページの見た目・URL・外部タグ・リンクを移行前と比べた移行レポートを受け取る
ネットショップ、会員登録・ログインのあるサイト、予約システムを組み込んだサイトは対象外です。診断で移行に向かないと判明した場合は、その理由を伝え、無理には勧めないとしています。
事例となった株式会社Jidoca Technologies のサイトは、表示のたびに WordPress がサーバーでページを組み立てる構成でした。ホットケルで静的サイトに移し、2026年10月24日に公開を切り替えています。問い合わせフォームは、WordPress のサーバーに内容を送る形からフウインに置き換えました。切り替えの前後で同じ条件のブラウザで撮影して比べたところ、見た目の違いは移行前のフォームにあった reCAPTCHA の画像認証の枠がなくなった点だけだったといいます。フウインは「利用企業のサイトからの送信だけを受け付ける」仕組みで迷惑送信対策を行うため、訪問者に画像を選ばせる手間がありません。入力欄、入力例の文字、必須の注記、送信ボタンは移行前と同じ表示です。
同社がトップページの表示速度を移行前後で計測した結果、最初の応答までの時間(TTFB)は 398 ミリ秒から 44 ミリ秒に、読み込み完了までの時間は 1,250 ミリ秒から 767 ミリ秒になりました。ブラウザが送るリクエスト数は 76 件から 60 件に、転送量は 4.0MB から 3.5MB に減っています。計測は2026年10月25日(日本時間)に同じ環境から行い、キャッシュのない新しいブラウザで 5 回ずつ読み込んだ中央値で、画面の大きさは 1280×800 です。値は計測する端末・回線・時間帯で変わるとしています。

料金は初期15万円〜、制作会社・代理店経由の契約にも対応
料金プラン(税抜)は以下の3種類です。
- A 移行と暗号化フォーム: 静的サイトへの移行、フウイン、迷惑送信対策、SEO・AIO の整備、移行レポート。初期 15 万円〜(10 ページ・フォーム 3 つまで込み)、月額 9,800 円
- B 記事の更新つき: A に加え、チャットやメールでの依頼から AI が下書きを作り、担当者がパスキーで承認して公開(公開は月 4 件まで)。初期は A と同じ、月額 24,800 円(A の月額を含む)
- C 監視と事故時の対応つき: B に加え、公開中のファイルの毎日の照合、年 1 回のセキュリティ報告書、事故時の技術調査。個別見積もり
11 ページ目からは 1 ページ 3,000 円、31 ページ目からは 2,000 円(税込 3,300 円・2,200 円)が加算されます。4 つ目以降のフォームは 1 つ 1 万円(税込 1.1 万円)で、101 ページ以上は個別見積もりです。たとえば 30 ページ・フォーム 4 つのサイトの初期費は 22 万円(税込 24.2 万円)となります。見積もりは URL 診断の時点で確定し、制作会社を通した契約や、制作会社が自社の顧客に提案する形の相談も受け付けています。
代表取締役の兼城 駿一郎氏は、10月21日の夜には周囲で WordPress を使う会社や制作会社が夜を徹して対応に追われていたと振り返り、こうした事態が続くとサイトを閉じる判断や、公開予定のページをお蔵入りにする判断に傾いてしまうとコメントしています。そのうえで、各企業や団体が自分の言葉で発信を続けられるよう、複雑なプログラムもログイン画面も持たない構成へ移し、更新のたびに身構えなくていい状態をつくりたいとしています。今後は制作会社や販売代理店とのパートナーシップを広げ、より多くの企業・団体の Web サイトやランディングページを、更新のたびに身構えなくてよい構成へ置き換えていく方針です。みらいスタジオは2022年5月設立で、ソフトウェア開発とスタートアップスタジオを本業とし、全国の高専 OB・OG を中心とする技術者コミュニティを母体に案件ごとに開発チームを編成しています。
出典:株式会社みらいスタジオ