株式会社ポケット・クエリーズ(本社:東京都新宿区、代表:佐々木宣彦)は、国立研究開発法人建築研究所との共同研究の続報を発表しました。今回の研究では、ヒューマノイドロボット(フィジカルAI)を新たに導入し、四足歩行ロボットと協調させて被災建築物を調査する手法を検証しています。成果は「2026年度日本建築学会大会(2026年9月)」で報告され、同社代表取締役社長の佐々木宣彦氏が登壇しました。

四足歩行ロボットの研究にヒューマノイドを加える
両者はこれまで、危険な災害現場での調査技術を研究してきました。2025年度日本建築学会大会では「四足歩行ロボットによる被災建築物調査技術の開発」を発表しています(論文名:四足歩行ロボットによる被災建築物調査技術の開発 その4 デジタルツイン技術の開発と運用方法の検討)。ほかにも「四足歩行ロボット×デジタル技術の開発と災害時の活用検証」や「ロボット等を活用したフェーズフリーな都市・建築の被災状況把握技術の開発に関する研究」といった共同研究に取り組んできました。
今回の発表は、こうした共同研究の進捗報告にあたります。模擬被災環境を使い、ロボットの機能、操作性、認識性能などを基礎的に検証した結果をまとめています。
発表の概要
- 大会:2026年度日本建築学会大会
- 部門:材料施工 ドローン・ロボット活用
- 日時:2026年9月9日(水)11:42〜12:30
- 会場:学校法人安田学園 安田女子大学 9号館 9412室
- 論文名:1689_ヒューマノイドロボットの技術動向と活用モデルの検討/1690_ヒューマノイドロボットと四足歩行ロボットを活用した被災建築物調査技術の開発
- 英題:1689_Technological Trends and Application Models of Humanoid Robots/1690_Development of a Building Damage Inspection Method Using Humanoid and Quadruped Robots
- 発表者:佐々木宣彦(ポケット・クエリーズ)、宮内博之(建築研究所)
日本建築学会大会は、建築に関する最新の学術情報と技術情報を交換するため毎年開かれている、国内最大規模の学術大会です。発表題数は約6,000題にのぼり、建築学分野の最新研究が一堂に集まります。
人・ヒューマノイド・四足歩行ロボットの役割分担
今回検証したのは、離れた場所にいる遠隔管理者がロボット群を統括し、それぞれの特性に合わせて役割を分けて調査する構成です。
- 遠隔管理者(人):MR(複合現実)技術を通じた双方向の情報共有によって、全体の統括と判断を行う
- ヒューマノイドロボット(調査主担当・司令塔):MR遠隔操作に加え、フィジカルAIとして生成AIによる対話支援や音声入力によるデジタル調査表の作成機能を備え、現場でのメイン調査を受け持つ
- 四足歩行ロボット(調査補助・詳細担当):不整地や悪路を安定して移動し、建物内部や狭い場所に入り込んで写真撮影などを行う
模擬環境での検証結果
論文では、以下の要素について基礎実験を行い、このアプローチの妥当性を確認しています。
- 対話・認識性能:騒音のある環境では音声だけの指示に誤認識が起きやすい一方、ジェスチャー(手合図)を併用すると認識精度が向上した
- 操作・視覚性能:直感的な映像操作よりも、地上の座標を指定する歩行操作のほうが安定した到達精度を示した
- 被災状況の把握:模擬被災環境で、ヒューマノイドのカメラ映像からは柱の傾きや地面の隆起など、四足歩行ロボットのカメラ映像からは壁下部の損傷や梁のひび割れなどの損傷状況を視認・評価できることを検証した
得られた知見と今後の課題
これまでの実証では、「人による調査」と「無人調査」の間に、視認性やデータの網羅性といった特性の差があることが明らかになっていました。今回の発表では、この特性差に対する具体策を対話機能と操作性の検証を通じて整理し、人・ヒューマノイド・四足歩行ロボットの3者による協調体制の有効性を実証したとしています。
今後は、目視外での距離認識精度を高めるとともに、模倣学習を多様化してフィジカルAIを高度化し、対応できる調査作業の幅を広げていく方針です。あわせて通信環境の安定化など実運用上の課題にも取り組み、将来の災害現場への社会実装に向けた検討を加速させるとしています。
ポケット・クエリーズは、第一線の現場を持つ顧客の「人財不足」をテーマに、技能継承、省力化、多能工化を目的とした現場向けDXツールを多数開発しています。これらの領域で、生成AI技術を活用した技術検証や実運用も手がけています。主な事業はロボティクス/IoT事業、VR/AR/MRの実用アプリケーション開発、3D-CG事業です。