ルワンダの教室に日本の「平和の願い」を届ける:オイスカ浜松国際高校教諭が現地で授業デビュー
2026年8月、特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトが実施した「ルワンダプロジェクト2026」において、オイスカ浜松国際高等学校の生徒が制作した千羽鶴や静岡紹介ポスターなどが、ルワンダの平和教育に活用されました。同校の鈴木哲子教諭が現地で授業を担当し、日本の学びを世界の教室で実践する「世界とつながる学び」の可能性を示しました。
ユネスコスクールの理念を「世界で行動する学び」へ
オイスカ浜松国際高等学校は2025年にユネスコスクールに正式加盟し、国際理解、平和、人権、文化多様性などを重視する「オイスカSDGs教育」を実践しています。同校は2025年度から「世界とつながる学びプロジェクト」に本格的に参加しており、生徒たちは紛争や貧困の現場で学ぶ子どもたちの姿を知り、自分たちの学びを世界の誰かの学びに生かせないかと考えてきました。
これまでに、オイスカ茶はケニアやシリアで日本文化を知る教材として、オイスカ米はカンボジアの避難民支援で提供され、SDGsカルタは現地の子どもたちが遊びながら学ぶ授業に活用されるなど、日本の教室で生まれた学びが国境を越えて活用されてきました。今回のルワンダでの活動もその一環です。

このような経験を通じて、生徒たちは「国際協力は特別な人だけが行うものではない」「今の自分にも平和をつくる力がある」と実感し、平和を願うだけでなく、知識や技能、地域文化を活用して平和を「つくる」学習へと意識が転換しています。
教師が生徒の思いを背負い、海を越える
2026年度、同校では各コースの学びと「世界とつながる学び」が連携しています。6月には、生徒たちが防災カルタのリーダー研修や「なかよしアルティメット」の指導者研修に参加しました。しかし、国内で教材を作るだけでは、学びの循環は完結しません。
今回、鈴木教諭は生徒たちの「ルワンダの人に届けたい」という思いを託され、なかよし学園の現地メンバーとして活動に参加しました。単に教材を届けるだけでなく、現地の状況に合わせて説明方法を変え、子どもたちに問いを投げかけながら授業を組み立てる役割を担いました。これは、日本の教員が自校の生徒の学びを背負って世界の教室に立ち、その成果と課題を自校へ持ち帰る「実装型の教員研修」としての側面も持ちます。

ルワンダ各地での活動内容
8月5日|Kinaji地域:千羽鶴を「祈り」から「次の行動」へ
Kinaji地域では、ジェノサイド(集団虐殺)で命を失った人々を悼むメモリアルへ、オイスカ浜松国際高校の生徒が制作した千羽鶴が届けられました。日本では平和を願う象徴とされる千羽鶴ですが、このプロジェクトでは単に届けるだけでなく、日本の高校生がルワンダの歴史を学び、鶴を折った「思い」を言葉で伝えました。これにより、千羽鶴は「祈りの作品」から、次の暴力を防ぐための対話を始める教材へと変化しました。

同地域の学校では、フライングディスクやアルティメットを使った「飛ぶ仕組み」の授業、ブンブンゴマやうちわを用いた動力・技術の学習、そして日本とルワンダの歌や踊りによる文化交流も実施され、ルワンダの子どもたちから日本の子どもたちへ手紙が託されました。これは、双方向の平和学習の出発点となりました。
8月6日|Kibagabaga Primary School:「日本を紹介する」から「互いの文化を学ぶ」へ
Kibagabaga Primary Schoolは、なかよし学園が約10年にわたり教育支援を続けてきた学校です。鈴木教諭は、この学校でオイスカ浜松国際高校の生徒が制作した静岡紹介ポスターや平和ポスター、折り紙のプレゼントなどを活用し、日本文化交流授業を行いました。
静岡紹介ポスターは、日本の高校生が自分たちの地域の何を世界へ伝えたいかを考え、表現した探究の成果です。ルワンダの子どもたちにとっては同世代の視点から日本を知る教材となり、日本の生徒にとっては世界へ伝えることを通して地域を見つめ直す学びとなります。

授業では、なかよし学園の監修のもと、日本茶や煎餅を使った文化体験、折り紙、平和教材、算数セット、レゴによる創造性教育などが組み合わされました。日本文化を一方的に紹介するのではなく、子どもたちの反応やルワンダの暮らしとの共通点・相違点について対話し、互いの文化を教え合う時間が持たれました。

翌8月7日には、日本とルワンダの教員間で、教材の使い方や問いの作り方、失敗を学びにつなげる方法などについて意見交換が行われました。前日の児童向け授業を教師向けに再構成し、現地教員が新学期以降も授業を再現・発展できるよう共有されました。なかよし学園が教育支援で重視するのは、「日本人が帰った後も現地の先生が続けられる授業」という再現性です。
8月11日|Miyove地区:一枚のディスクで、環境・科学・協働・平和を教える
Miyove地区では、「なかよしアルティメット」が実施されました。オイスカ浜松国際高校では、2026年6月22日にスポーツウェルネス科の生徒を対象にリーダー研修会を開催。アルティメット元日本代表選手から、ディスクの投げ方やキャッチ方法に加え、セルフジャッジや対戦相手を尊重する「S.O.T.G.(Spirit of the Game)」の理念を学びました。生徒たちは海洋プラスチック問題や平和への思い、ルワンダの子どもたちへのメッセージをディスクに書き込みました。

鈴木教諭は、そのディスクをルワンダへ運び子どもたちに手渡しました。さらに、生徒が制作した凧なども使いながら、空を飛ぶ仕組みと挑戦することの意味を伝えました。なかよし学園代表の中村雄一氏は、「一人でかなえられない夢は、仲間とかなえる」というメッセージを伝え、アルティメットを通じて対話によって違いを乗り越える平和教育を実践しました。一枚のディスクから、海洋プラスチックとリサイクル、飛行の科学、スポーツ、協働、対話、夢、平和を横断して学ぶ機会が提供されました。
「生徒がつくり、教師が届け、世界から学びが還る」——学校教育を変えるCoRe Loop
「世界とつながる学び」は、オンライン交流や寄付に留まらない、なかよし学園が「CoRe Loop」として設計する循環型学習モデルです。
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Create(創造):日本の教室で、教科・探究・部活動・地域学習から教材や作品を制作する。
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Reach(届ける):なかよし学園と参加者が海外の学校・地域へ届け、授業として実践する。
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Co-Reflect(共に考察):現地の子ども、教師、地域住民とともに反応や課題を考える。
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Return & Redesign(還す・再設計):写真、映像、手紙、現地の知恵を日本へ還し、次の教材と行動を再設計する。

鈴木教諭が現地に参加したことで、この循環はさらに深まりました。教員は、生徒が制作した教材が異なる環境でどのように受け止められるかを直接確認し、改善に生かすことができます。生徒にとっても、「先生が自分たちの思いを本当に世界へ届けた」という事実は、学ぶ目的と責任を明確にし、自己肯定感と自己効力感を育む大きな意味を持ちます。このモデルは、国際教育を一部の生徒だけでなく、学校の日常に開く可能性を秘めています。
関係者のコメント
鈴木哲子教諭のコメント
「生徒たちが千羽鶴やポスター、フライングディスク、動画に込めた思いを知っているからこそ、自分の手でルワンダへ届け、現地の子どもたちの表情を見ながら授業ができたことには、大きな責任と喜びを感じました。現地に立つと、想像を超える反応や問いがあり、私たちが日本の答えを教えに行くのではなく、同じ教材を間に置いて互いに学び合うことが、世界とつながるということだと実感しました。この経験を生徒たちに伝え、次は何を学び、どう行動するのかを一緒に考えていきたいです。」

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト代表・中村雄一氏のコメント
「『世界平和について考えましょう』と言うだけでは、平和は遠い理想のままです。しかし、自分が折った鶴や描いたポスター、学んだスポーツが世界の教室で誰かの学びになると分かった瞬間、平和は自分が参加できる行動に変わります。今回の大きな成果は、鈴木先生が生徒の思いを背負って現地の教室に立ち、ルワンダの子どもや先生と一緒に授業をつくったことです。教員が世界の現場から学び、それを日本の学校へ持ち帰ることで、生徒の探究も次の段階へ進みます。私たちはこれからも、平和を願う学校を、平和をつくる学校へ変える橋渡しを続けていきます。」

今後の展開
なかよし学園は、2027年度の「世界とつながる学びプロジェクト」に向け、参加を検討する学校、教育委員会、自治体、企業、地域団体からの事前相談を受け付けています。すべての生徒や教員が海外へ渡航する必要はなく、普段の授業や学校行事、部活動、地域学習で生まれた成果をなかよし学園が海外の教育現場へつなぎ、現地で授業として実践します。
希望に応じて、教員の現地参加、オンライン交流、教材の共同開発、現地教員研修などを組み合わせることが可能です。国語・英語、社会・探究、理科・数学・情報、保健体育、家庭科・食育、芸術・部活動、特別支援教育など、どの教科も世界の課題と接続し、学びを広げることができます。オイスカ浜松国際高校の挑戦は、教室で生まれた学びを世界の現場で行動へ変えた実践であり、なかよし学園はこのモデルをさらに多くの学校・地域へ広げ、日本各地の学びを世界の平和構築へつなげていく方針です。
関連情報
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オイスカ浜松国際高等学校 ユネスコスクール加盟校情報: https://www.unesco-school.mext.go.jp/schools/list/oisca-hamamatsu-kokusai-high-school/
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オイスカ浜松国際高校「世界とつながる学びプロジェクト」リーダー育成: https://www.oisca.ed.jp/diary/20260710/
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なかよし学園「世界とつながる学び(CoRe Loop)」: https://nakayoshigakuen.org/coreloop
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なかよし学園プロジェクト公式サイト: https://nakayoshigakuen.org


