本ガイドのポイント
- 「特になし」が増えたら要注意。満足ではなく、「書いても変わらない」というあきらめのサインであることが多い
- アンケート結果が活かされない原因は大きく5つ。とくに多いのは「全社平均だけを見る」「現場に結果だけを返す」の2つ
- 結果が出たら「絞る・読む・場をつくる」の3ステップで動く。現場に返すのは「結果」ではなく「問い」
- 当社研修の参加者83名へのアンケートでは、満足度を左右したのは“道具”よりも“問いかけと進行”だった
背景:アンケートは毎年。それでも職場は変わらない
社員の働きがいや会社への愛着を数値で測る「エンゲージメントサーベイ」は、多くの企業に広がっている。一方で導入の翌年に「スコアは出たが、次に何をすればいいのか分からない」という相談が寄せられるケースがある。
2026年5月に発表された全国約1万人の調査(出典: アジャイルHR「2026年版 第4回 全国1万人従業員エンゲージメント調査」)では、会社の制度や取り組みから得られる「働く活力の源」の評価が、20代以下の2.76から30代では2.32へ0.44ポイント低下し、「30代の孤立」として警鐘が鳴らされた。研修を手掛ける当社の顧客企業でも、新入社員研修や管理職研修は整っている一方、管理職前の30代には会社とつながる場が不足しているケースが多い。
当社は、アンケートが職場の変化につながらない最大の原因を、ツールや担当者の力量ではなく、スコアを「どの部署で、誰と、何を話すか」に置き換える工程が欠けていることだと指摘する。今回のガイドは、その工程を具体的な手順に落とし込んだものである。
出典:株式会社アジャイルHR「2026年版 第4回 全国1万人従業員エンゲージメント調査」(2026年5月13日公表)。調査期間:2026年3月16日〜23日、対象:全国の15〜79歳の男女10,576人、方法:インターネット調査。結果は4段階評価の平均で、会社レベルの資源の年代別比較として示される。
「特になし」は満足のサインではない
アンケートの自由記述欄で最初に見るべきは、量と具体性である。取り組みが効き始めた職場では、点数が上がるより先にコメントの量が増える。漠然とした不満も、具体的な提案へと変化する。
反対に、記述が減ったり「特にありません」「特になし」が増えたりしたときは要注意である。それは満足の表れではなく、「書いても何も変わらない」というあきらめが職場に広がっているサインである。前年に結果を返しただけで何もしなかった職場でよく見られる。
結果が活かされない「5つのつまずき」
アンケート結果が職場の変化につながらない原因は、ほぼ次の5つに集約される。
| つまずき | 職場で起きていること | 抜け出す方向 |
|---|---|---|
| 1. 全社平均だけを見ている | 数字が「誰の課題でもない」ものになる | 部署別・年代別に分け、最も低い単位を見つける |
| 2. 全項目を一度に上げようとする | 取り組みが10個並び、どれも中途半端に終わる | 今年動かす項目を1つに絞る |
| 3. 自由記述を読んでいない | コメントが報告書の中に眠ったままになる | 内容を分類し、点数より先に表れる変化を拾う |
| 4. 現場に「結果」だけを返している | 部門長が責められたと受け止め、犯人探しの空気になる | 結果ではなく「問い」を返し、解釈を現場と一緒につくる |
| 5. 効果を次回のアンケートでしか測らない | 1年待つ間に熱が冷める | 3か月で変わる行動の指標を別に持つ |
特に多いのは1と4である。4は人事部門の善意から生じやすく、結果をそのまま返すと、受け取る側には部署の低評価通知として伝わり、翌年の回答が歪むことがある。
スコアの次にやる3ステップ――「絞る」「読む」「場をつくる」
結果が出てから最初の1か月でやることは3つだけ。順番を入れ替えないことが重要だ。
- 絞る: 今年動かす項目を1つ、対象を1部署(または1階層)に決める。基準は「最も低い項目」ではなく「最も低く、かつ人事や職場の取り組みで動かせる項目」。給与水準や事業の将来性のように研修や対話では動かないテーマを選ぶと、1年後に「やはり変わらなかった」という結論だけが残る。
- 読む: 対象部署の自由記述を、集計せずに「人間関係」「仕事そのもの」「制度」の3つに分けて読む。研修や対話で扱えるのは前の2つで、制度の問題は制度の担当者に渡す。
- 場をつくる: 対象部署に対話の場を設ける。現場に返すのは「結果」ではなく「問い」である。「相互理解の項目が2.1でした」と伝えるのではなく、「お互いのことをどれくらい知っているか、一度話してみませんか」と招待する。前者は評価、後者は招待だ。
当社の研修現場でも、対象を絞って始めた企業ほど翌年にほかの部署へ取り組みを広げている。
効果は3か月後に「行動」で確かめる
次のアンケートまで1年待つと途中で軌道修正ができない。3か月で変化が表れる指標を、取り組みを始める前に決めておくことを勧める。特別なツールは不要である。
- 会議での発言の偏り:同じ会議で発言が特定の2〜3人に集中していた状態が崩れているか
- 部下からの相談件数:上司からの呼び出しではなく、部下から持ちかけられた相談だけを数える
- 自由記述の量と具体性:点数より先に動くため、途中経過の指標になる
例えば「スコアが0.2上がった」という報告よりも、「部長会で発言する人が4人から9人に増えた」という報告のほうが、経営層にも変化が伝わりやすくなる。
研修参加者83名のアンケート:満足度を左右したのは「道具」より「問いかけと進行」
当社が2026年3〜7月に実施したレゴ®シリアスプレイ®研修4件の参加者アンケート(回答83名、各設問5点満点)の結果は次のとおりである。
| 設問 | 平均点(5点満点) | 「4」以上の割合 |
|---|---|---|
| 講師の進行の分かりやすさ | 4.67 | 95% |
| 研修全体の満足度 | 4.51 | 92% |
| 新しい気づき・学びがあったか | 4.33 | 87% |
| 日頃の業務に活かせそうか | 4.11 | 72% |
| レゴ®ブロックで自分の考えを表現しやすくなったか | 3.78 | 64% |
唯一4点を下回ったのは「レゴ®ブロックで表現しやすくなったか」で、最も高い「進行の分かりやすさ」との差は0.89ポイントである。参加者全員が同じ設問に回答したうえでの比較であり、道具の扱いよりも問いの立て方と進行設計が満足度に影響していると解釈される。
なお、4件のうち1件では「表現しやすさ」が4.29と4点を上回っており、参加者の構成や事前設計によって結果は変化する。
代表取締役 森琢也のコメント
「エンゲージメントサーベイは職場の現状を測る道具であって、次の一手を教えてくれる道具ではない。低かったスコアをそのまま現場に返せば、受け取る側には『あなたの部署が低い』という通知として届き、翌年は『特になし』が増える。数字を『どの部署で、誰と、何を話すか』に置き換え、結果ではなく問いを返すことが重要である。当社は『いま、ワクワク働く大人を増やす』を掲げ、アンケートの声を対話へつなぐ取り組みを広げていく。」
公開記事の概要
- 記事名:エンゲージメントサーベイの活用法【2026年版】――スコアの次にやる3つのこと
- 公開日:2026年8月31日
- 掲載先:株式会社クック・ビジネスラボ公式サイト
- URL:https://cookbizlabo.com/blog/20260831-1359/
- 主な内容:結果が活かされない5つのつまずき/スコアの次にやる3ステップ/自由記述の読み方/対話の場で避けたい3つのやり方/3か月後の効果の測り方/外部に依頼するときの判断軸と費用の目安/よくある質問(12問)
サーベイ後の「対話の場」づくりを支援する研修について
当社の研修は、レゴ®ブロックで考えを形にし、その作品をもとに対話を深めるワークショップ形式である。作品を囲んで話すため、発言が役職順に偏りにくく、批判が作品に向かいやすいのが特徴である。毎回60分程度の事前ヒアリングを行い、企業ごとに投げかける問いの言葉まで設計している。
| プラン | 人数・時間の目安 | 料金(税別) |
|---|---|---|
| 最小構成 | 10名前後・2〜3時間 | 200,000円〜 |
| 半日プログラム | 20名前後・3〜4時間 | 300,000〜350,000円程度 |
| 1日プログラム | 20名前後・6〜7時間 | 400,000〜450,000円程度 |
| オンライン体験会 | 約2時間 | 1人5,000円 |
教材の送料は別途、首都圏以外での実施は交通費・宿泊費を実費で申し受ける。お問い合わせから実施まで通常2〜4週間。詳細は研修の内容・料金ページをご覧ください。
【会社概要】
会社名:株式会社クック・ビジネスラボ
代表者:代表取締役 森琢也(中小企業診断士/レゴ®シリアスプレイ®認定ファシリテーター)
事業内容:企業向けチームビルディング研修、組織開発、経営コンサルティング
サービス:レゴ®シリアスプレイ®メソッドを用いた対話型研修。新入社員研修、管理職研修、全社会議・キックオフの参加型設計、内定者フォローなどに対応
実績:三菱商事・AWS・PwCをはじめ導入100社以上、累計受講者6,000名以上。リピート率約80%
代表プロフィール 森琢也(もり・たくや)。中小企業診断士/レゴ®シリアスプレイ®認定ファシリテーター。トヨタ系大手自動車部品メーカー(デンソー)で約10年、経営企画・事業企画に従事。講師歴15年以上、累計100社以上・6,000名超の研修を担当。
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LEGO®、レゴ®、SERIOUS PLAY®、シリアスプレイ®は、LEGO Groupの商標である。本リリースはLEGO Groupが認証・後援するものではない。
出典:社員アンケートの「特になし」は満足のサインではない――結果を“職場の対話”に変える3ステップを公開/株式会社クック・ビジネスラボ/2026年9月28日
